
こんにちは、つつみ百貨店、更新担当の中西です。
さて今回は
つつみ百貨店のトピック~お見送り~
お盆の締めくくりは、祖先の霊を迷わせずに送ること。迎えた手順の“逆”を丁寧にたどるのが基本です。地域差はありますが、共通の考え方と実務の段取りを、仏事業者の目線でも役立つように整理しました。
目次
日取り:一般にはお盆最終日の夕刻〜夜(13〜16日の地域なら16日)。
場所:自宅の玄関先・門口/墓前/寺院のいずれか(地域習俗や家の事情で選択)。
心構え:迎えた時と同じく、**光(灯り)・香(線香)・花・言葉(回向)**で“道案内”を整えます。
最後のお供えを整える(ご飯・水・果物・菓子など)。
盆棚(精霊棚)と盆提灯の灯りを点す。
家族がそろったら、静かに合掌し「今年もお越しくださり、ありがとうございます」と一言。
線香・灯明をともし、玄関先へ。
地域により送り火(焙烙に麻がら等)を焚く。火気が難しければ、提灯の灯りと合掌で代替。
門口で一礼・合掌し、送りの言葉を。
例:「道中どうぞお迷いなく。来年もまたお越しください。」
灯りをゆっくりと消し、火の後始末を確実に。
※マンションや火気厳禁の地域:屋外での焚火は避け、電池式提灯・香炉用不燃砂・短時間の線香で安全に。管理規約も確認。
夕刻に墓参→花替え・水向け→線香・灯明→合掌・回向(可能なら僧侶読経)→一礼。
帰宅後、盆棚前で再度合掌し、灯りを静かに落とす。
寺の施餓鬼会・万灯会に参列し、塔婆供養や回向を受ける。
終了後、盆棚前で「本年の送り」を告げて灯りを消す。
「今年も見守ってくださり、ありがとうございました。」
「道中お気をつけて。また来年お迎えいたします。」
初盆の方へ:「まだ寂しさはありますが、安らかにお過ごしください。どうぞお導きください。」
子どもと一緒のときは「おじいちゃん(おばあちゃん)をおうちの外までお見送りするよ」と、行為の意味を短く優しく。
送り火:焙烙+麻がらが一般的。風下を確認し、火種は完全消火。灰は冷ましてから塩で清め、半紙で包み、地域の慣習に従って処分(寺の焼納・土に返す・自治体ルールに沿った廃棄)。
提灯:目印の灯り。初盆の白提灯は送り後に焼納や寺預けが多い。通常の家紋入は埃を払って防湿保管。
線香:家族全員が一本ずつでもよい。煙・香り控えめタイプは高齢者や集合住宅にも配慮。
タイミング:送りが済んだ当夜〜翌日。慌てず、丁寧に。
合掌し、「本年のお勤めを終えます」と一声かける。
位牌は仏壇へ戻す。盆飾り(真菰、敷紙等)は塩で清め、半紙で包んで処分(地域慣習・寺院指示を優先)。
**精霊馬(きゅうり馬・なす牛)**は感謝を述べてから処分。土に還す/紙に包んで可燃ごみなど、地域の決まりに従う。
**お供え物は“お下がり”**として家族でいただく(いたみが早い時季なので状態確認)。
花器や器具は水気を拭き、来年に向けてチェックリスト(提灯の紐・電装、焙烙の割れ等)。
白提灯はその年限りが原則。焼納・寺預け・専門店回収などあらかじめ確認。
施主は返礼・挨拶状を別途整える場合がある(地域慣習による)。
法要の写真・会葬礼は送り後に整理し、近親へ共有すると心が整う。
沖縄(旧盆):エイサーの送り、家ごとの御願。
精霊流し・灯籠流しは自治体・主催行事のみで。個別に川へ流すのは環境・安全上NG。
宗派ごとに読経・回向の文言は異なるため、不明時は寺院へ一言相談が最善。
雨天:屋外の火は無理せず、玄関内で合掌+提灯で代替。
当日全員そろえない:代表者が所作を行い、後日そろって盆棚前で合掌すればよい。
高齢者・小さな子がいる:線香は短時間、換気と火の管理を最優先。
ペットがいる:煙を避けるため別室待機。倒炎事故防止の転倒しにくい香炉を。
僧侶・お世話になった親族へ、簡単なお礼の連絡を。
盆棚の片付けが済んだら、仏壇前で日常の勤行へ(朝夕の合掌・線香一本でも十分)。
子どもと今年のお盆の思い出を一言ずつ共有すると、次代への継承になります。
最後のお供え・水替え
盆提灯の点灯/線香・灯明
玄関先で合掌(必要なら送り火)
送りの言葉を伝える
火の完全消火・灰の処理
盆棚の片付け(位牌戻し・精霊馬・敷物・器具)
初盆白提灯の焼納手続き
お下がりの確認(飲食物の安全)
関係者へのお礼連絡
「迎えて、もてなして、迷わせずに送る」。
この三拍子を家族で共有し、火と灯りの安全に留意すれば、形が多少違っても“正しい送り”になります。大切なのは感謝と敬意。丁寧な所作と言葉で締めくくることが、来年の良いお迎えにつながります。