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日別アーカイブ: 2025年8月13日

つつみ百貨店のトピック~お見送り~

こんにちは、つつみ百貨店、更新担当の中西です。

 

さて今回は

つつみ百貨店のトピック~お見送り~

 

お盆の締めくくりは、祖先の霊を迷わせずに送ること。迎えた手順の“逆”を丁寧にたどるのが基本です。地域差はありますが、共通の考え方と実務の段取りを、仏事業者の目線でも役立つように整理しました。


1. いつ・どこで送る?

  • 日取り:一般にはお盆最終日の夕刻〜夜(13〜16日の地域なら16日)。

  • 場所:自宅の玄関先・門口墓前寺院のいずれか(地域習俗や家の事情で選択)。

  • 心構え:迎えた時と同じく、**光(灯り)・香(線香)・花・言葉(回向)**で“道案内”を整えます。


2. 基本の送り手順(自宅で送る場合)

A)送り支度(夕方までに)

  1. 最後のお供えを整える(ご飯・水・果物・菓子など)。

  2. 盆棚(精霊棚)と盆提灯の灯りを点す。

  3. 家族がそろったら、静かに合掌し「今年もお越しくださり、ありがとうございます」と一言。

B)送りの所作(暮れ方〜夜)

  1. 線香・灯明をともし、玄関先へ

  2. 地域により送り火(焙烙に麻がら等)を焚く。火気が難しければ、提灯の灯りと合掌で代替。

  3. 門口で一礼・合掌し、送りの言葉を。

    • 例:「道中どうぞお迷いなく。来年もまたお越しください。」

  4. 灯りをゆっくりと消し、火の後始末を確実に。

※マンションや火気厳禁の地域:屋外での焚火は避け、電池式提灯・香炉用不燃砂・短時間の線香で安全に。管理規約も確認。


3. 墓参・寺参りで送る場合(二つの定番)

パターン1:墓前送迎型

  • 夕刻に墓参→花替え・水向け→線香・灯明→合掌・回向(可能なら僧侶読経)→一礼。

  • 帰宅後、盆棚前で再度合掌し、灯りを静かに落とす。

パターン2:寺院の送り法要型

  • 寺の施餓鬼会・万灯会に参列し、塔婆供養や回向を受ける。

  • 終了後、盆棚前で「本年の送り」を告げて灯りを消す。


4. 送りの言葉(そのまま使える短句)

  • 「今年も見守ってくださり、ありがとうございました。」

  • 「道中お気をつけて。また来年お迎えいたします。」

  • 初盆の方へ:「まだ寂しさはありますが、安らかにお過ごしください。どうぞお導きください。」

子どもと一緒のときは「おじいちゃん(おばあちゃん)をおうちの外までお見送りするよ」と、行為の意味を短く優しく。


5. 送り火・灯り・香の具体

  • 送り火:焙烙+麻がらが一般的。風下を確認し、火種は完全消火。灰は冷ましてから塩で清め、半紙で包み、地域の慣習に従って処分(寺の焼納・土に返す・自治体ルールに沿った廃棄)。

  • 提灯:目印の灯り。初盆の白提灯は送り後に焼納寺預けが多い。通常の家紋入は埃を払って防湿保管

  • 線香:家族全員が一本ずつでもよい。煙・香り控えめタイプは高齢者や集合住宅にも配慮。


6. 盆棚(精霊棚)の片付け

タイミング:送りが済んだ当夜〜翌日。慌てず、丁寧に。

  1. 合掌し、「本年のお勤めを終えます」と一声かける。

  2. 位牌は仏壇へ戻す。盆飾り(真菰、敷紙等)は塩で清め、半紙で包んで処分(地域慣習・寺院指示を優先)。

  3. **精霊馬(きゅうり馬・なす牛)**は感謝を述べてから処分。土に還す/紙に包んで可燃ごみなど、地域の決まりに従う。

  4. **お供え物は“お下がり”**として家族でいただく(いたみが早い時季なので状態確認)。

  5. 花器や器具は水気を拭き、来年に向けてチェックリスト(提灯の紐・電装、焙烙の割れ等)。


7. 初盆(新盆)ならではの注意

  • 白提灯はその年限りが原則。焼納・寺預け・専門店回収などあらかじめ確認

  • 施主は返礼・挨拶状を別途整える場合がある(地域慣習による)。

  • 法要の写真・会葬礼は送り後に整理し、近親へ共有すると心が整う。


8. 地域差・宗派差へのやさしい配慮

  • 沖縄(旧盆):エイサーの送り、家ごとの御願。

  • 精霊流し・灯籠流し自治体・主催行事のみで。個別に川へ流すのは環境・安全上NG。

  • 宗派ごとに読経・回向の文言は異なるため、不明時は寺院へ一言相談が最善。


9. よくあるケース別ミニ解説

  • 雨天:屋外の火は無理せず、玄関内で合掌+提灯で代替。

  • 当日全員そろえない:代表者が所作を行い、後日そろって盆棚前で合掌すればよい。

  • 高齢者・小さな子がいる:線香は短時間、換気と火の管理を最優先。

  • ペットがいる:煙を避けるため別室待機。倒炎事故防止の転倒しにくい香炉を。


10. 送りのあとに——“余韻とお礼”

  • 僧侶・お世話になった親族へ、簡単なお礼の連絡を。

  • 盆棚の片付けが済んだら、仏壇前で日常の勤行へ(朝夕の合掌・線香一本でも十分)。

  • 子どもと今年のお盆の思い出を一言ずつ共有すると、次代への継承になります。


11. 送りのチェックリスト(保存版)

  • 最後のお供え・水替え

  • 盆提灯の点灯/線香・灯明

  • 玄関先で合掌(必要なら送り火)

  • 送りの言葉を伝える

  • 火の完全消火・灰の処理

  • 盆棚の片付け(位牌戻し・精霊馬・敷物・器具)

  • 初盆白提灯の焼納手続き

  • お下がりの確認(飲食物の安全)

  • 関係者へのお礼連絡


「迎えて、もてなして、迷わせずに送る」。
この三拍子を家族で共有し、火と灯りの安全に留意すれば、形が多少違っても“正しい送り”になります。大切なのは感謝と敬意。丁寧な所作と言葉で締めくくることが、来年の良いお迎えにつながります。